〜さざなみのおおやしま〜

何でも「少なく、小さく、軽く」が身上のミニマリスト。GAFAMの犬。楽天経済圏の住人。<サラリーマンのテーゼ>について考える。

北近江と西美濃を結ぶ八草峠


かつて滋賀県湖北地域振興局木之本建設管理部の古道紀行にあった一文

八草峠は、滋賀・岐阜県境にある金糞岳と土蔵岳の中間に位置します。現在行っている国道303号バイパス工事のうち八草トンネルが平成13年に開通するまでは、国道303号がこの峠を通っていました。昭和25年にできた八草林道が県道となり、昭和43年に国道に昇格したものです。 

この道路ができるまでは、400mほど北にある日の裏峠(越え)、さらに北の登谷とイ坂を結ぶ旧八草峠が、北近江と西美濃の交流を支えていました。旧八草峠は、久加(日坂)越えといわれ、山を埋める樹木の中にきこり道が細々とついているだけでしたが、近江の金居原と美濃の川上、徳山を結ぶ主要な峠でした。この峠には、彦根藩2代藩主井伊直孝が領地検分の折りに植樹したといわれる松があり、直孝松と呼ばれています。 

幾重もの山並みにへだてられた北近江と西美濃でしたが、今日考えられる以上に交流は活発だったようです。婚姻による人の交流をはじめ、炭、薬草、楮(こうぞ:美濃紙の原料)等の物資、情報、文化、あらゆる面で強い結びつきが認められます。山を生業とする人々にとって山並みはへだたりではなかったようです。