〜さざなみのおおやしま〜

何でも「少なく、小さく、軽く」が身上のミニマリスト。GAFAMの犬。楽天経済圏の住人。<サラリーマンのテーゼ>について考える。

(公財)丹後地域地場産業振興センター(アミティ丹後、野村克也ベースボールギャラリー)@京丹後市網野町網野


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いまから30年程前、古本屋で買った野村さんの著作『背番号なき現役』を読んで以来、ずっと網野へ行きたいと思っていた。
中学から高校にかけて野村さんの著作を、古本屋で買っては読むことを繰り返していた。
野球部で捕手をやっていたことが、野村さんに興味を持つきっかけだった。
当時僕は野村さんを真似してバットエンドを一握り短く持ってみたり、バッターに対してボヤいてみたりしていた。
高校入学後、野村さんの書いた『背番号なき現役』と言う本を、読んだ。
この本は、和田秀樹『偏差値50から早慶を突破する方法』、高坂正堯『国際政治—恐怖と希望—』、司馬遼太郎街道をゆく』と並ぶ、「人生を変えた本」「座右の書」となった。当時僕は、二時間半をかけて高校まで通っていた。
星の見えるうちに起きて、夜暗くなってから家に帰る。
両親は自営業(農業)だったが、高校近くに下宿させてくれることも、最寄りの駅(自転車で約50分、車だと15分)まで送り迎えしてくれることもなかった。
父親は僕が学校に向かう頃にやっと起きてきたし、家に帰ったときには茶の間で新聞を読んでいた。
学費も私が償還する予定になっている日本育英会奨学金によって充当されていた。
小遣いは少なく参考書や模試を受けようと思うと、昼飯を抜く必要があった。
同級生達が昼食にもってくるパックジュースが羨ましかった。
これは昭和一桁とか終戦直後の話ではない。
平成に入ってからの話だ。
平成の世に両親とも健在でありながら「欠食児童」の十五の僕の心は折れそうになっていた。野村さんは、経済的な理由で高校を卒業するのも大変なご苦労があったとのこと。
網野は冬には雪が降る。
自分よりも勉強もしなかった同級生がぬくぬくと布団に寝ているときに、なぜ自分は新聞配達をしなければならないのか、と本当に辛く悔しかったとのこと。
しかし生徒や学生の頃は
「人生における練習試合であり全力で取り組まなくてならない。練習試合をやり遂げなければ、本当の試合で力を発揮することは叶わない。人にとって本当の試合とは社会に出てからだ。だから十代の頃は、いくら理不尽でも腐ることなくやり遂げなくてはならない」
と野村さんは書いていた。
「生徒・学生時代は人生の練習試合」この言葉に、欠食児童だった僕がどれだけ救われたか。
自分と同じ雪の降る日本海側の田舎に生まれ育った野村さんの言葉に、僕は共感し深く納得した。
その後日本球界や日本社会全体も席巻したID野球とそれに連なる「野村の教え」の萌芽は当時の著作の中に既にあり、書籍群に記載してある具体的で含蓄のある考えや行動理論を人生の早い時期に吸収できたことは、自分にとって大変な財産となった。欠食児童の僕は、塾にも予備校にも行くことなく大学に現役合格。
大学時代も変わらず親の援助は少なく、家賃を含めた生活費を奨学金とアルバイトで賄いながら4年で卒業。
卒業後四年感のアルバイト生活を経て、なんとか堅い職業についている。
辛かった高校〜就職迄の間、野村さんの考えがどれだけ自分を支えてくれたことか。
挫けそうになるとノムさんが僕の心のなかでボヤく。
「生徒。学生の頃は人生の練習試合」と。
つまり野村さんは僕の人生の大恩人だ。
人生の師匠の一人と言っても過言ではない。
野村さんの故郷網野には、ずっと行ってみたいと思っていた。
このベースボールギャラリーが出来たことを知り、念願の網野町へ行ってみた。
選手としては、戦後初の三冠王、世界プロ野球史上初の捕手の三冠王本塁打王9回、打点王7回、通算本塁打数歴代2位、通算安打数歴代2位、通算打点数歴代2位、選手出場試合数歴代2位であり、監督としてはリーグ優勝5回、日本一3回、監督出場試合数歴代3位の大野球人だ。
その大野球人の記念ギャラリーとしては「これっぽっち?」という感想だが、それも野村さんらしくていい。
 
妻は監督の頃の野村さんの記憶がわずかにあるぐらいで、後は「サッチーの旦那」として野村さんを認識していたとのこと。
ギャラリーを見させていただいた後に、妻が「野村さん凄い選手だったのね。」と言った。
 
一瞬唖然。
そうだった、僕は結婚したぐらいから野球よりもフットボールに傾倒して、ほとんど妻に野球の話をしていない。
当然、野村さんの話もしたことが殆どない。
 「あのねぇ、君なぁ、、」と言いかけたが、それも「月夜の月見草」と自分を例えた野村さんらしくていい、と思い直して少しおかしかった。

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