昭和初期からあった絹織物工場の移転を機に、事業主体が鶴岡商工会議所加盟企業の出資による民間資本のまちづくり会社が中心となって設立した映画館らしい。
「街の回遊の核」となる生活利便施設としての映画館に再生することで、賑わいの起点となることを目的としているとのこと。
藤沢周平の時代小説に登場する海坂藩のモデルとなった庄内藩城下町鶴岡も、中心市街地の衰退と高齢化という地方都市共通の悩みを抱えている。
商店街らしき場所を歩いている人はまばらで建物はあるがガランとした雰囲気であった。
建物は木造既存工場をうまく再利用している。
映画上映の他にも各種演芸や講演会など広範な活用が図られいるとのこと。
中小都市が単独の映画館をもつのは既に贅沢な話ということのでもあるのだろう。
40席から165席の4つのシネマでも、既存建築へのオマージユや繊維工場であったことからのインスパイヤーが見て取れるデザインとなっている。
ついでの用事があったとは言え、ここでわざわざ映画をみたかったのは「世界一と言われた映画館 酒田グリーンハウス証言集」というドキュメンタリー映画を見るためだ。
酒田は鶴岡の隣町。
鶴岡は城下町であるが、酒田は港町であり、人口も拮抗している。
本当ならば酒田の映画館でみたかったのだが、、、。
「グリーンハウス」の記憶があるであろう人たちと映画を見ることになった。
懐かしい風景や酒田大火の映像にグッきている人も散見された。
ショッピングモールに併設されたシネコンや配信で見るのとは明らかに違う雰囲気のなかで映画を見ることができた。
いい映画館である。
※現在は閉館、残念です。