〜さざなみのおおやしま〜

何でも「少なく、小さく、軽く」が身上のミニマリスト。GAFAMの犬。楽天経済圏の住人。<サラリーマンのテーゼ>について考える。

近鉄京都線澱川橋梁


鉄橋の見える街宇治川にかかる鉄道用の無橋脚トラス構造の鉄橋。
1928年に建設。
径間=164.5m、高さ24.4m、米国製の鋼材を使用し約1,800t長大なワンスパンの単純トラス構造の鉄橋。
2012年までは日本最長のトラス構造の鉄橋だった。
 
無橋脚トラス構造となったのには理由がある。
陸軍第16師団隷下工兵第16大隊が伏見南部一帯をその練兵場としていた。
架橋演習、渡河訓練の演習及び練兵に支障を来すとの理由でワンスパンの単純トラス構造となった。
当時としては画期的であった。
実は陸軍は同じような機密保持のため、ワンスパン構造のトラス橋などではなく、地下トンネルによる鉄道の敷設を要請していた。
最終的に高架軌道、澱川橋梁への直結となった。
近鉄京都線は京都駅からこの鉄橋までは高架化されている。(丹波橋駅付近を覗く)
やはり伏見はワンダーランド。
繰り返し申して恐縮だが敢えて言いたい。この街には「意外とすごい」ものがたくさんある。この鉄橋をバックに夕日を撮影する人が多い。
ワンスパンのトラス構造は美しいのだ。
力学的に合理的なものは美しいから不思議だ。
この橋の由来を知る前から、僕はこの橋が好きだった。
伏見の街は建物が密集しているので、遠くから見えるわけでもない。
付近を歩いていとふいに見える。
この鉄橋の付近を歩いていることを特に意識しているわけでもないので「ああ澱川(よどがわ)鉄橋か」と嬉しくなる。
古い友人に道端でふいに出会ったときの感覚に近い。
心の中にある伏見の風景のひとつである。